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hontomo について

大阪府で小学校図書館司書をしています。学校司書歴7年目。1年目は右も左も分からず、2年目は読み聞かせに力を入れこの頃から個人的に読み聞かせのデータベースを作成をし始めました。3年目から勤めていた小学校・中学校の学校図書館改善に取り組み、サイト「ほんとも!〜学校図書館おたすけサイト〜」を立ち上げ。4年目以降は調べ学習に力を入れ始めました。その後異動し、現在の学校では1年生〜6年生を見通した調べ学習のカリキュラム・授業作りを研究中です。

ローラのすてきな耳



ローラは耳がよく聞こえません。友だちの声がよく聞こえなくて仲良く遊べなかったり、車が近づいて来ているのに気づかなくて危ないことも。けれど、そんなローラの耳を聞こえやすくする、すてきな耳をつけたら…

耳が聞こえにくい子どもが実際にどんなことに困っているのか、具体的に「こうしてくれたりいのに」というローラの解決策も描かれていて、「耳が聴こえない」「聞こえにくい」ということに対し理解が深まります。


なっちゃんの声 学校で話せない子どもたちの理解のために



場面緘黙(かんもく)についての絵本です。主人公のなっちゃんは、家では家族と声を出して話をすることができるのですが、学校ではどうしても声が出せません。そのため、クラスの子たちにもからかわれてしまいます。ある日、お母さんが学校に行った時に、クラスの子たちになっちゃんのことについて話をします。子どもたちはそこで初めて、なっちゃんのことを理解し、これまでの自分を見直しなっちゃんとの接し方を変えます。

巻末の解説では場面天目について詳しく書かれています。場面緘黙について子どもたちの理解を深めるのにも良く、場面緘黙に限らず気の弱い子や人前で話すのが苦手な子がクラスにいる場合にも読むと良さそうな絵本です。


ちいさなおおきなき



タイトルと表紙からだと優しいおはなしなのかな?と感じるのですが、中身は壮大で深く、考えさせられるお話です。小さな種から大きな木が育ち、その木に暮らす様々な生き物と、そして人間…。人間の愚かさを痛烈に描く絵本です。もう少し木の大きさが伝わる絵だったら…読み聞かせするには少し絵が細かいので、読む際に注意が必要です。


カワと7にんのむすこたち ―クルドのおはなし―



クルドに伝わる昔話。カワには7人の息子がいて、カワと6人の息子で鍛冶をし、末っ子とお母さんは羊飼いをして幸せに暮らしています。しかしある日、国を治めていた王様が悪魔により悪い魔法にかけられ、肩から蛇が2匹生えてきました。蛇を大人しくするために最初は羊を食べさせていましたが、やがて羊ではなく男の子を食べさせるようになります。カワは息子たちが心配になり…

「肩から蛇が生える」というのがびっくりの、クルドの昔話。悪魔に騙され続ける王様が少し不憫な気が…けど、簡単に騙されてしまい子どもを生贄にさせるような王様だから、救われないのも仕方ないのでしょうか。そのあたりを子どもたちと一緒に考えても良いかもしれません。


ばけばけばけばけばけたくん たんじょうびの巻



「ばけばけばけばけばけたくん」シリーズ、今回はなんと誕生日!さすが誕生日なだけあって、今回は食べ物も飲み物も豪華、変身するばけたくんもいつもよりド派手な変身です。また、今回はばけたくんの家族や友だちも出てきます。誕生日の読み聞かせすると、とっても楽しそうです。


ウサギとカメ



イソップの寓話「ウサギとカメ」の絵本。この絵本ではあまりウサギは悪者として描かれておらず、最後には仲良く握手をしています。勝ったカメもいばりちらしません。また、眠ってしまっているうさぎの気持ちよさそうなこと…とてもやさしい「ウサギとカメ」のお話に仕上がっています。


イベント「図書館、使いこなせてる?」を行いました!

先日ご案内した通り、本日グラスまちライブラリーさんとのコラボイベント、「図書館、使いこなせてる?」を行いました。

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生憎の雨模様で事前の宣伝も不十分だったためか参加者数は少なかったのですが、それでも参加された方々と図書館について色々とお話することができました。

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天候にかかわらず今回はデジタル機器をほとんど使わない(使ってもiPadで画面を見せる程度)ということだったので、このように画用紙をマスキングテープで装飾して手書きでフリップなどを作成しました。マスキングテープが思いの外好評でした!

今回は「図書館を普段あまり使わない人に、図書館ってこんな便利なところもありますよ、実はこんな役割もあるんですよ」という内容でしたが、私がただお話するだけではつまらないと思い、ワークショップ的なものも交えつつ以下のような内容にしました。

(1)「としょかんって、どんなところ?」というテーマで画用紙半分に今図書館に対して持っているイメージをグループで話し合いながら書いてもらう

まず、聴き手の皆さんが今図書館をどんな風に使っているのか、図書館に対してどんなイメージや想いを持っているのかを画用紙に書いていただきました。

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書かれているのは「本の検索ができる」「CDが借りられる」「本の検索ができる」「本を借りるところ」など、概ね事前に予想していた通り、図書館の様々な機能や役割があまり知られていない印象でした。
ただ、今考えると、図書館にとっても詳しい方がたくさんいらしてた時を想定してこの後の話を複数パターン用意しておくべきでした…実際、「調べもものにいい」などこの先話す内容のことも書かれていたりします。
また、「飲食禁止」「静かにするところ」「勉強(自習)してはいけない」など予想していなかったことも書かれていて、このあとこの方向の話が広がり想定外の面白さがありました。

(2)しらべたいなら、としょかんへ!

(この項はおおよそ話した内容をそのまま書きます)。
本を貸し借りするだけが図書館の役割ではありません。図書館は利用者さんが何か調べたいことがあるときに手助けをするサービスをしています。図書館には物語や絵本以外にも様々なジャンルの本がありますよね?図書館の本は日本十進分類法という方法で本の仲間分けをしており、おおまかに10種類に本を分けています(0〜9類を説明)。では、どうして物語の本や絵本以外の仲間の本もあれだけたくさんあるのでしょう?それは、図書館は本を読んで楽しむだけにあるのではなく、利用者の方が様々なことを調べられるようにするためです。そして、図書館は利用者の方が調べる手助けをします。その手助けサービスのことを「レファレンス」と言います。「レファレンス」だとわかりにくいですよね、日本語で言うと「情報サービス」「情報探索サービス」でしょうか。要するに、情報探しの手助けです。例えば、

「子どもの頃に広い芝生でどんな遊びをしましたか?」

ということを知りたいのであれば、図書館に行って聴けば瞬時にこんな風な本(昔あそびや子どもの屋外遊びの本)を探しだしてくれます。

あるいは、

「箱作(会場の最寄駅の名前)という地名の由来は?」

という質問に対しても、図書館には地域の歴史や民俗の資料がたくさんあるので調べることができます(郷土資料をお見せしました)。図書館は地域の歴史や郷土、文化を保存する役割もあります。

あるいは、

「阪南市にカフェ&雑貨のお店を開きたいけれどどうすれば?」

という質問であれば、カフェや雑貨店の開店についての本、ネットショップも同時にするのであればネットショップの開業や商品の写真の撮り方の本、大阪にある他のカフェや雑貨店を視察したいのであれば大阪のカフェ・雑貨店のガイド本もあります。また、開業の際の相談窓口なども紹介してくれます。

このように、何か調べたい時には図書館に行けば、図書館は手助けしてくれます。

(3)ほんがとしょかんになければ…

(この項も話した通りに書きます)
こういった調べ物をしたりしている時に、調べたい本が図書館に無いケースもあります。けど、図書館に無ければ読めない…というわけではありません。他の市町村や大阪府立図書館から資料を取り寄せてもらって、読むことができます。図書館は他の図書館と連携して利用者さんが資料を読むことができるようにネットワークを築いています。大阪府で言えば、大阪府立図書館は他の図書館よりも資料をはるかに多く購入しており、大阪府下の市町村の図書館を支える役割があります。

また、何か調べたい時には資料だけでなく、大学や文化施設などの専門機関を紹介してくれることもあります。さきほどのカフェ開業のようなケースがそうです。

さらに、日本最大の図書館「国立国会図書館」があります。法律で、本を出版したら国立国会図書館に本を納めないといけない「納本制度」というものがあります。膨大な資料を持っていて、直接行って資料を見ることもできますし、市立図書館に資料を取り寄せたりデジタル化した資料を見せてもらうこともできます。

なお、国立国会図書館には「レファレンス協同データベース」というデータベースがあり、先ほどの図書館の調査の事例をデータベース化しています。日本全国たくさんの図書館がこのデータベースに事例を登録しています。
また、大阪府立図書館は「e-レファレンス」という、インターネット上で調査相談を受けつるサービスもしています。

(4)かんがえよう、としょかんのやくわり

最後に、今日の話を聞いた上で、図書館の役割や、こんな図書館がいい!ということを再度画用紙に書いていただきました。

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今回はお子さん連れの方が多かったためか、児童コーナーや子ども連れで図書館に行くことなどに関する書き込みが多いですね。特に児童コーナーとそれ以外のコーナーをフロア分けしたらどうか?という話で盛り上がりました。お子さん連れだとどうしても他の利用者さんに気を遣ってしまう、騒いだら申し訳なく思うとのこと。また、「図書館の人が忙しそうで声を掛けづらい」という声も。また、図書館で長居したいのに自販機が無い、館内で飲み物を飲めないのが困るという話も出ました。そして、資料をもっと増やして欲しい、古い資料を新調して欲しいという意見も。

以上のようなことをお話しましたが、あくまでおおまかに書いただけで、実際にはどんどん話が広がっていきました。分類についてもっと込み入った話をしたり、他の図書館の話(飲食できる図書館やカフェのある図書館など)に広がったり、あるいは図書館に対して要望があってもどこに言って良いのかわからない、議員さんに言ったり図書館を考える会に参加したりというのはハードルが高い、など。
図書館を利用しない人も、利用している人も、図書館に対して「もっとこうして欲しい」というニーズはあるものの、そのニーズを図書館側が拾うのはとても困難ではないか、という印象を受けました。いち図書館員として、こういったニーズをどうやって拾っていくか?ということを考えさせらるイベントでした。

今までこんな風に「図書館関係者以外の大人に図書館の話をする」ということは無かったのでイベント前は少し不安だったのですが、やってみれば新たな発見が多々あり、大変良い経験になりました。また機会があればぜひやってみたいですね。


以下、今回の参考文献です。















本も図書館関係者以外の方が読んでも面白い本が多いです。ぜひご一読ください。


【会場変更】グラスまちライブラリーさんとのコラボイベント開催!OSAKA BOOK FESTA+2015

以前当サイトで「まちライブラリー」および「グラスまちライブラリー」さんをご紹介しました。

・グラスまちライブラリーに行ってきました

そして2015年4月18日(土)〜5月17日(日)にかけて、主に大阪のまちライブラリーを中心に「OSAKA BOOK FESTA+2015」というイベントが開催されています。

・OSAKA BOOK FESTA+2015

まちライブラリーOSAKA BOOK FESTA+ 2015 は、民間図書館“まちライブラリー”、公共図書館や大学図書館、書店、ショップなど大阪とその周辺に点在するブックスポットを巡り、本を介して人と人との出会いを生み出す新しいタイプの地域イベントです。
ブックスポットでは、トークやワークショップなど様々なアクティビティが開催され、参加者が推薦した本を紹介するコーナーなどもあります。
さあ、本を持ってまちに出よう!
思いもよらない本と人との出会いが、大阪の街であなたを待っています。
(OSAKA BOOK FESTA+2015サイトより引用)

イベントの様子はテレビ東京の番組でも紹介されました。

・TV TOKYO アンサー「くらしのアンサー なぜここに続出!ナゾの交流場」

そして、このたびほんとも!もグラスまちライブラリーさんとのコラボでOSAKA BOOK FESTA+2015イベントを開催いたします!

コラボイベントチラシ
・【大阪ブックフェスタ】2本だて!(1)ほんともさんコラボ図書館使いこなせてる?!(2)広大な芝生で遊ぼう!

日時:5月16日(土)11:00〜
ほんとも!のイベントは45分程度、イベント終了後ランチタイム(※各自持参)や芝生遊びあり
場所:大阪府阪南市桃の木台中央公園
(雨天時は近隣の屋内施設で開催)
対象年齢:全年齢
参加費:無料
アクセス:南海電車箱作駅下車、南海ウィングバス阪南スカイタウン線・桃の木台7丁目下車

※※※雨天のため会場を桃の木台東住民センターに変更いたします。南海ウイングバス阪南スカイタウン線・桃の木台3丁目下車、飯ノ峯中学校前の住民センターが会場です。※※※

ほんとも!はイベントの前半を担当させていただきます。
イベントタイトルは

「図書館、使いこなせてる?」

主に「普段図書館を使わない人」や「図書館で本は借りているけれど、それ以外の使い方を特にしていない人」を対象に、図書館の思わぬ使い方や役割について、参加者の皆さんにも一緒に考えていただきつつ図書館の話をしようと考えております。
なお、ほんともは10時ごろから公園にいますので、イベント前に学校図書館の話をしたり、お子さん連れであれば読み聞かせをしたりもします。
イベント後は広大な芝生で一緒に楽しい遊び(昔あそびのような)もします。
みなさま、どしどしご参加ください!


サン・ジョルディの日に贈る絵本

あまり世間一般には知られていないかもしれませんが、毎年4月23日は「子ども読書の日」(4月23日〜5月12日はこどもの読書週間)であると同時に「世界図書・著作権デー(世界本の日)」でもあり、そして「サン・ジョルディの日」でもあります。

図書館や出版・書店・お花屋さん関係ではない方にはあまり馴染みが無いかもしれませんが、「サン・ジョルディの日」とは「親しい人に気持ちをこめて、本や花を贈り合うカタルーニャ伝統の日」です(日本・カタルーニャ友好親善協会サイトより)。元々は聖人サン・ジョルディが退治した竜の血からバラが咲いたことからバラを贈る日だったのですが、20世紀に入り本を贈るようになりました。カタルーニャでは男性がバラを贈り女性が本を贈ることが多いようですが、特にこだわり無く男女、友人同士、親子で本を贈ることもあるとのこと。

「人に本を贈るなんて、その人がどんな本を読んでいるかわからないと難しい、こんな本を贈っても好みじゃなかったら…」と思ってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、誰かが自分のためにじっくり悩んでこれだ!という1冊を贈ってくれれば、どんな本でも嬉しいものだと思います。みなさん、今年は誰かに本を贈ってはいかがでしょうか?

さて、以下はほんともオススメの、プレゼントにぴったりな絵本です。主に大人に贈る絵本を紹介します。




junaidaさんという画家さんの絵本です。絵本というより、画集に近いかもしれません。「家」をテーマに、見ていて思わず心温まるような絵がたくさん詰まっています。細部まで本当に細かく描かれていて、じっくり見ていると発見があり楽しいです。




同じくjunaidaさんの「HUG」という絵本。タイトル通り「ハグ」をテーマに、様々なハグが描かれています。しかし、単純に人と人同士がハグする絵ばかりではありません。1枚1枚、意味深なテーマがあるように感じます。



同じくjunaidaさんの「IHATOVO〈01〉」。宮沢賢治の作品の一節を抜き出し、その一節に時に幻想的な、時に楽しい絵を描かれています。宮沢賢治の珠玉の文章とjunaidaさんの絵が見事にマッチしています。ただ、漢字にルビが無いのでお子さんにプレゼントするのはちょっと向いてないかもしれません(よく本を読む小学校高学年の子ならば大丈夫だと思いますが)。



この本も実は文字がありません。デイヴィッド・ウィーズナーという作家さんの絵本ですが、絵だけでストーリーが展開していきます。エンパイアステートビルに登った少年が、不思議な友だちとの邂逅と別れ、そしてラストの夢が溢れでたかのようなワンシーンは思わず鳥肌が立ちます。伏線もあり、絵だけでこれだけの物語の展開があるのは素晴らしいです。



同じくデイヴィッド・ウィーズナーさんの文字なし絵本。海水浴をしていた少年が波に揉まれると、ふとひとつのカメラを拾い上げます。そのカメラに入っていた写真を現像してみると…。ちょっとSFチックな絵本です。



大道芸人であるフィリップ・プティ。彼の特技は綱渡りであり、ニューヨークのツインタワーを綱渡りするという壮大な挑戦をするお話です。しかし、彼は全く怖れません。何が彼を綱渡りに駆り立てるのか?ということを読み手に問いかける絵本です。ちなみにこの絵本は実話を元に書かれています。



卒業・3学期最後」の読み聞かせブックリストでも紹介していますが、この4月に異動や引っ越しで遠くに行った、あるいは就学や就職や転職という新たな門出を祝うのにぴったりの絵本です。



ある日、ひらがなの国の道端に落っこちていた濁点。そんな「読めもしない」珍事は、実は深い深い絶望から始まったもの。思わず唸ってしまう珠玉のストーリーです。



広告などでイラストを見たことがある方も多いのではないでしょうか?ヨシタケシンスケさんというイラストや造形芸術を中心に活動されている方の絵本。とても哲学的で大人も思わず考えこんでしまいます。



絵本ですが236ページもあります。自分自身のアイデンティティとは?これも哲学的な絵本です。実は学校でもよく借りていかれます。



ショートムービーで有名になりましたが、その映画を元にリメイク・描き下ろしされた絵本です。海面がどんどん上昇し、家が沈んでいく町。その町で、海面が上昇するたびに上へ上へと増築していく家に住むおじいさん。ある日、また家を建てようとした時に道具を下の家に落としてしまいます。道具を取りに潜ってみたおじいさんは、古い家を見て昔を思い出します。家族や故郷、人生のことを感じさせてくれる絵本です。



おじいちゃんからある日ネコの男の子のもとに「浮き輪」が贈られてきます。手紙には「次の満月にふくらませて」と書いてあります。言われたとおりふくらませてみると…。蜂飼耳さんの秘密めいた冒険の物語、けどどこか優しさも感じさせてくれます。その物語に牧野千穂さんの淡く優しいタッチの絵がぴったりです。



もしプレゼントする相手に最近赤ちゃんが生まれていたらぜひ贈りたい絵本。赤ちゃんへのお母さんの思いがたっぷり詰まった写真絵本です。



本好きな人にぜひ贈って欲しい本。「本と読む」ということそのものの意味が伝わってくるかのような絵本です。



キャンバスを前にして、筆が止まってしまった画家。愛車ルノーを走らせただひたすら進む先にあったのは古びたホテル。そこで画家は様々な人々と出会います。想像力とはいったい何なのか?どうやって取り戻せば良いのか?これぞまさに大人の絵本。


というわけで、かなり偏ったリストになりましたが(実際ほとんど自分の好きな絵本リストに近いです)、どれも大人が読んでも面白い絵本ですので、特にプレゼント関係無くとも読んでいただければ幸いです。


日本十進分類法 新訂10版について勉強しました 改訂方針編

前回は「日本十進分類法 新訂10版について勉強しました 外見・中身編」と題して外見やコンテンツの変更について書きました。
今回はいよいよ分類方法などがどのように変わったかを書きます。

なお、説明のためページ番号を書く必要があるのですが、NDCは2冊にわかれているため、わかりやすいよう「本表・補助表編(第1分冊)」を1巻、「相関索引・使用法編(第2分冊)」を2巻とさせていただきます。
また、9版と10版の違いがわかりやすいよう、文字の色を9版の説明部分は茶色に、10版の説明部分は緑色にしています。

<改訂方針>
まず2004年に公表された10版の改訂方針について、1巻26pに記載されています

・NDCの根幹に関わる体系の変更はしない
・ただし「007 情報科学」と「548 情報工学」の統合の可能性を検討する
書誌分類を目指す
・新主題の追加(件名標目表4版や国立国会図書館件名標目表、新刊書等を参考に)
・全般にわたって解説や分類項目名などの修正・追加(論理的不整合、時代の変化等に合わせて)
・分類典拠ファイルの作成
(※強調はほんともによる)

基本的には9版から大幅に分類体系の変更を加えることはなく、時代にマッチした改訂になっているようです。
1巻27pの「3.2 追加的対応」にもその旨の記述があります。
これは現状多くの図書館がNDC9版を使用しており、大幅な変更は影響が大きいことも考慮されているのかな、と思います。

<「007 情報科学」と「548 情報工学」の改訂>
「007 情報科学」と「548 情報工学」の統合については、「統合の可能性を検討する」と前述しましたが、結果的に

「記号的な統合よりも『概念(観点)の明確化』により区分する考え方に切り替えた」

となっています(1巻27pより)。
9版と10版を比較してみると、10版の007、548は項目名や注記が変更されている箇所が多く、新規追加項目も多くあります。
例えば、10版007では

「007.6355 書体[フォント]」

など今となっては当たり前の項目が多く追加されています。
また、9版では「582.33 ワードプロセッサー.タイプライター」にワープロ用ソフトウェアを収めていた(ただし別法で007に入れることはできた)のが10版では「007.638 文書作成ソフトウェア」に統合されさらにプレゼン用ソフトや表計算ソフトなど細かく分類されるようになっています。

一方、548も同じく情報工学の発展に合わせた追加・変更がされています。細かく挙げていくときりがないのですが、例えば9版では

「548.21 入力装置」

としか記述されていなかったものが、10版では

「548.21 入力装置:マウス、タッチパッド、トラックボール」

というように改訂され、さらに

「548.211 文字・画像入力」(キーボードやペンタブレットなど)
「548.212 映像入力」
「548.23 音声入力」

と細分化されています。
また、同じく「548.25 出力装置」10版では「文字・画像出力」や「映像出力」や「音声出力」にさらに細分化されるなど、ともかく時代に合わせた改訂がなされています。

さらにこれら情報科学・情報工学で10版で大きく変更されたのは、「547.48 情報通信」と「548 情報工学」を別法で「007 情報学.情報科学」に収めることができるように明記されたことです。
9版では「007 情報科学」を別法で「548 情報工学」に別法で収められることは明記されていたのですが、その逆の「548 情報工学」を「007 情報科学」に収める別法は明記されていませんでした。
図書館としては情報に関する資料を0類・5類のどちらにも統一して分類しやすくなり、使いやすくなったのではと思います。また、007・548に限らずこのような使いやすい改訂が随所になされています(学校図書館に特に係る部分は次回の記事で触れます)。

<書誌分類を目指す>
実を言うと私は「書誌分類」という言葉をダイトケン合同例会まで知りませんでした。
「書誌分類」の説明の前に、まず「書架分類」を説明したほうがわかりやすいかもしれません。
「書架分類」は資料を書架に並べるために分類記号を「ひとつだけ」決める分類法です。排架のための分類であり、分類番号は短く簡潔、乱暴な言い方をすればおおざっぱな分類です。
一方、「書誌分類」は資料が持つ主題を詳細に分析し分類番号を付与します。詳細に主題を分析するため、分類番号は長く、また複数の分類番号を付与することもあります。
これは、排架のために分類番号を付与するのではなく「書誌」=本を探すための情報として分類を付与するためです。資料が多くの主題を持っていれば、分類番号も複数になります。

NDC10版は「書誌分類をめざす」(1巻26p「3.1 改訂方針」より)としており、本表・補助表編(第1分冊)の「序説」や相関索引・使用法編(第2分冊)の「使用方法」も書誌分類を前提に書かれています。特に「使用方法」の「1.1 書誌データの作成と分類作業」(2巻・266p)にはっきりと「主題要素各々に対応した複数の分類記号を積極的に付与(分類重出)することが望ましい」と書かれています。

<分類典拠ファイルの作成>
「典拠ファイル」とはごくごくおおざっぱに言えば、著者名や主題の統一型を記録したファイルのことです。書誌を作成する際に、作成者によって著者や主題がバラバラになったり間違ったりしないよう、この「典拠ファイル」から著者や主題をデートして引っ張りだしてきたり、資料検索でもこの典拠ファイルを用いて検索精度が上がるようにしています。
「分類典拠ファイル」とはつまり分類表の典拠ファイルであり、NDC9版ではすでにこの分類典拠ファイルである「NDC・MRDF9」(MRDFはmachine-readable data formatの略)が提供されています
NDC10版でも同じく分類典拠ファイルとして「NDC・MRDF10」の作成・提供を計画されていましたが、10版出版までには間に合っていません(1巻30p「3.5 NDC・MRDF10の検討」より)。改訂作業の膨大さを考えると、これはしかたのないことだと思います。今後の提供が期待されますね。

この記事を書くにあたり、9版と10版の007・547・548を見比べる作業をしてみたのですが、その作業だけでも大変疲れました。0類〜9類を改訂する作業というのは、恐ろしい労力と疲労を伴ったと思います。改訂作業をされた皆様、本当にお疲れ様でした。
なお、改訂方針だけでこれだけの分量になってしまいましたので、NDC10版と学校図書館についての記事は次回「日本十進分類法新訂10版 学校図書館にどう関わってくる?」(タイトル予定)で書きたいと思います。