カテゴリー別アーカイブ: (は)春

だって春だもん




つららから落ちるしずく、流れだす水、芽吹く木々…
春の訪れを感じさせるほんの小さな、
けど確かな春の兆候たちが、
美しい写真でその一瞬を切り取られています。
文章もそれほど変に色付けされておらず、
自然と読める文章になっています。
冬の終わりの頃に読みたい絵本です。


ツバメのたび―5000キロのかなたから―



だれかが僕を呼んでいる。行かなければ。
海を渡り、嵐を越え、彼方へ…


春になって日本にやってくるツバメ。
その壮大な旅をダイナミックなアングルで描いています。
文章がとてもシンプルで科学的な読み物というよりは物語的な絵本。
ちょっと退屈かな…?
ツバメの科学的な本と一緒に紹介すると良いかもしれません。


やまねこのおはなし



ひとりきままに山に住んでいたやまねこ。しかし、ある日知らない世界が見たくて街に行ってみることにしました。その途中、たんぽぽの綿毛が体について…

やまねことたんぽぽの不思議な優しいお話。淡いタッチの絵もまた、お話の優しさを伝えています。たんぽぽが出てくるので、春に読むと良いかもしれません。


もりのてがみ



さむいさむい冬。ひろこさんは、ともだちにてがみを書きました。みどりの目をしたりす、しっぽのとれたとかげ、うたのすきなことりたち…みんなもみの木の下で出会ったともだちです。「すみれがさいたらまた会おうね」という約束を書き、てがみはもみの木にさげました。春になったら、みんなに会えるかな?

ひろこさんの手紙を書く場面が、とっても良い!手紙自体もともだちとの想い出がつまってて良いんだけど、その手紙の周りにある小物…はさみ、ペン、バンドエイド、切手、のり、などなどの小物類にすごく味があって、この手紙のシーンを一層ほんわかしたものにしてるんです♪そして、物語もまたほんわかしているので、この手紙のほんわかと相まって読んでいてとっても幸せな春の気分になります!このほんわかは、おひざに抱っこの読み聞かせで一緒にあじわってください~


ぼんさいじいさま



ぼんさいじいさまのたくさんのぼんさいのなかでも、一番大切で一番見事なのが、しだれ桜のぼんさい。そのしだれ桜が今朝は満開で、ぼんさいじいさまがうっとりながめていると、しだれ桜からじいさまを呼ぶ小さな声。しだれ桜をのぞいてみると…

この絵本の何がすごいって、じいさまの達観しているところがすごい!読み手は途中でじいさんの死に薄々気づくんですよね。けど、全然悲しみがない。むしろ、「あぁ、こういう死に方だったら良いなぁ」と思わせるくらい。それくらい、じいさんが死を恐れず、死をすんなりと受け入れているんです。だって、途中あきらかに死の宣告をされているのに、このぼんさいじいさん、「おお、そうだったのかい」の一言で済ませるんでよ!そして、本当に幸せそうに自分の庭を訪れた動物たちとの想い出を振り返り、楽しそうにスキップしながら逝くんです。桜吹雪の中を。桜の散り際に、桜の儚い和歌などのブックトークにおりまぜて読んでみてはいかがでしょうか?


ぽとんぽとんは なんのおと



冬ごもりの穴のなかで2匹の双子のあかちゃんを生んだかあさんぐま。ぼうやたちは穴の外から聞こえる音が気になるようです。「かあさん、なんのおと?」とこぐまたちは聞きます。そのたびにかあさんぐまが教えてあげます。きこりが木を切る音、ふくろうが鳴く声、なだれの音…その音から、だんだん春が近づいてくるのがわかります。くまの親子の目覚めはもうすぐかな?

大人が読むと「あかちゃんたち、お母さんぐまを寝かせてあげてー!」と思っちゃうんですが、かあさんぐまは太っ腹!子どもの質問に優しく答えてくれるところが、包容力があって良いなぁ。それでいてかあさんぐま、目をつぶってて眠そう(というか眠ってる?)その顔がまた味があって良いのだなぁ。そうしている内に、やがて音が春を知らせる…ストーリー展開も繰り返しなんだけど待ち遠しい春を徐々に感じさせていく展開が上手い!冬と春の境目の季節にどうぞ~


はるをさがしに



「いま、はるのにおいがした」オコジョのタッチィは、一面の雪景色の中、訪れてくる春のかすかな匂いを感じました。タッチィの楽しみは、仲良しのくまさんが冬眠から目覚めること。けれど、なかなか春は来ません。シカは「くまさんのあなのまわりに、花をしきつめればいいんじゃないの?」というアイデアをくれました。そこで、タッチィはくまさんを起こすための花を探しに、電車にのって南へ行くことにしました。電車に乗れないタッチィのために手助けをしてくれた女の子も一緒です。タッチィは花をみつけることができるでしょうか?

くまさんを起こすために頑張るタッチィが健気で、そしてその起こすためのアイデアもまたかわいい!クマさんを起こすタッチィの想像のシーンがかなりほんわかします♪ 絵はちょっとマンガのコマ割り風で、これは賛否両論あるかも?けど女の子はきっと気に入りそうなかわいい絵です。個人的には、女の子が列車を見送るシーンと、ラストのくまさんとタッチィくんが一緒の場面の構図が良いなぁ。


春になったらあけてください



お母さんの趣味はプレゼント応募。今日も何かプレゼントが宅配便で届きました。けどあんまりたくさん応募しすぎて、お母さんは何が当たったのかわかりません。さっそく中身をみようとあけてみると、中には缶がひとつ。一緒に入っていた紙には、「春になったらあけてください」と書いていました。

みなさんは、「春がきた!」と思うのはどんな時ですか?桜が咲いたら?つくしが出たら?春をイメージさせるものって、人によって違いますよね。この本に出てくる家族も、そんな風に春への想いを巡らせます。そうやっていよいよ春をむあえて、開けた缶の中身は…それは、読んで確認してみてください。予想外の、それでいてまさしく春を彷彿とさせるプレゼントです!


じいじのさくら山



うれしいことがあるたびに、じいじがこっそりうえたさくらは、今はそらにまで届きそうなほど大きくなった。じいじはさくらの山で色んな遊びを教えてくれた。「じいじはすごいなぁ」というと、いつもじいじは「なんもなんも」という。そんなじいじが、ある冬の雪の日に病気になった…。

夏の鮮やかな緑の山から、真っ白で寒々しくて、けれど美しい冬。その雪が解け、蕾が芽吹き、やがて桜が満開となる春。その季節の移ろいと、「じいじ」の生と死という命の移ろい。季節が繰り返しめぐるように、ラストの麦わら帽子姿の男の子の背中もまた、孫と子の命のつながりを感じさせる。う~ん、なんとも言葉にしがたい深い絵本です…


さくらの里の風来坊



川端誠さんの『風来坊』シリーズ、笑いもあり、手に汗握る展開もありで、子どもにも人気の高いシリーズですね。けれど、この『さくらの里の風来坊』はちょっと違うんです。

とある山里にやってきた風来坊。お寺の境内を借り、一心不乱に仏像を彫ります。仏像を彫る風来坊の表情は、目を見開き歯を食いしばり、まるで木槌とのみに怒り(あるいは苦しみ、悔しさ)をこめているかのような…。その表情には、そして作り上げられた仏像には、旅で目にした、否、旅をする上でどうしても避けられない、目にしたくなくても目にしてしまう、どうしようもない現実の悲しみがこもっていた。仏僧として生き人々の助けをしつつ旅をしていても、どうしても助けられない人たちへのやるせない想い。出来上がった不動明王の顔が、風来坊の表情と重なる。しかし、風来坊はもう1体の仏像を作る。後悔の内に死んだ女を供養するために作った観音像。その観音像は、女の故郷の村が見渡せる場所におさめた。桜で満開の里が見える場所に…

と、長々と書いてしまいましたが、他の『風来坊』シリーズ、というより川端誠さんの作品の中でかなり異色なのがわかるかと思います。子どもに読み聞かせしてこの絵本が果たしてウケるかどうか、というのはかなり難しいラインです。この絵本の世界に入り込むためには、それなりの下準備が必要かと思います。ブックトークで桜に関する和歌などと合わせて日本人が持つ桜への思いを紹介しつつ、読み聞かせしてみてはいかがでしょうか。