カテゴリー別アーカイブ: 3月

はるをさがしに



「いま、はるのにおいがした」オコジョのタッチィは、一面の雪景色の中、訪れてくる春のかすかな匂いを感じました。タッチィの楽しみは、仲良しのくまさんが冬眠から目覚めること。けれど、なかなか春は来ません。シカは「くまさんのあなのまわりに、花をしきつめればいいんじゃないの?」というアイデアをくれました。そこで、タッチィはくまさんを起こすための花を探しに、電車にのって南へ行くことにしました。電車に乗れないタッチィのために手助けをしてくれた女の子も一緒です。タッチィは花をみつけることができるでしょうか?

くまさんを起こすために頑張るタッチィが健気で、そしてその起こすためのアイデアもまたかわいい!クマさんを起こすタッチィの想像のシーンがかなりほんわかします♪ 絵はちょっとマンガのコマ割り風で、これは賛否両論あるかも?けど女の子はきっと気に入りそうなかわいい絵です。個人的には、女の子が列車を見送るシーンと、ラストのくまさんとタッチィくんが一緒の場面の構図が良いなぁ。


春になったらあけてください



お母さんの趣味はプレゼント応募。今日も何かプレゼントが宅配便で届きました。けどあんまりたくさん応募しすぎて、お母さんは何が当たったのかわかりません。さっそく中身をみようとあけてみると、中には缶がひとつ。一緒に入っていた紙には、「春になったらあけてください」と書いていました。

みなさんは、「春がきた!」と思うのはどんな時ですか?桜が咲いたら?つくしが出たら?春をイメージさせるものって、人によって違いますよね。この本に出てくる家族も、そんな風に春への想いを巡らせます。そうやっていよいよ春をむあえて、開けた缶の中身は…それは、読んで確認してみてください。予想外の、それでいてまさしく春を彷彿とさせるプレゼントです!


じいじのさくら山



うれしいことがあるたびに、じいじがこっそりうえたさくらは、今はそらにまで届きそうなほど大きくなった。じいじはさくらの山で色んな遊びを教えてくれた。「じいじはすごいなぁ」というと、いつもじいじは「なんもなんも」という。そんなじいじが、ある冬の雪の日に病気になった…。

夏の鮮やかな緑の山から、真っ白で寒々しくて、けれど美しい冬。その雪が解け、蕾が芽吹き、やがて桜が満開となる春。その季節の移ろいと、「じいじ」の生と死という命の移ろい。季節が繰り返しめぐるように、ラストの麦わら帽子姿の男の子の背中もまた、孫と子の命のつながりを感じさせる。う~ん、なんとも言葉にしがたい深い絵本です…


さくらの里の風来坊



川端誠さんの『風来坊』シリーズ、笑いもあり、手に汗握る展開もありで、子どもにも人気の高いシリーズですね。けれど、この『さくらの里の風来坊』はちょっと違うんです。

とある山里にやってきた風来坊。お寺の境内を借り、一心不乱に仏像を彫ります。仏像を彫る風来坊の表情は、目を見開き歯を食いしばり、まるで木槌とのみに怒り(あるいは苦しみ、悔しさ)をこめているかのような…。その表情には、そして作り上げられた仏像には、旅で目にした、否、旅をする上でどうしても避けられない、目にしたくなくても目にしてしまう、どうしようもない現実の悲しみがこもっていた。仏僧として生き人々の助けをしつつ旅をしていても、どうしても助けられない人たちへのやるせない想い。出来上がった不動明王の顔が、風来坊の表情と重なる。しかし、風来坊はもう1体の仏像を作る。後悔の内に死んだ女を供養するために作った観音像。その観音像は、女の故郷の村が見渡せる場所におさめた。桜で満開の里が見える場所に…

と、長々と書いてしまいましたが、他の『風来坊』シリーズ、というより川端誠さんの作品の中でかなり異色なのがわかるかと思います。子どもに読み聞かせしてこの絵本が果たしてウケるかどうか、というのはかなり難しいラインです。この絵本の世界に入り込むためには、それなりの下準備が必要かと思います。ブックトークで桜に関する和歌などと合わせて日本人が持つ桜への思いを紹介しつつ、読み聞かせしてみてはいかがでしょうか。


さくら



春、美しく花を咲かす桜。その桜の一年間を、美しい絵で追う絵本です。けれど、ただ美しいだけでなく、桜の花びら1枚1枚まで緻密に描かれており、また季節ごとの芽や花、葉の変化も忠実に描かれており、科学的な面から見ても素晴らしい絵本です。そしてまた、文章も良いんですよね~。「みんな みんな ちって、じめんには はなびらの ゆきが つもります」そう、まさにそう!実はこの紹介文を書いているのが4月13日。職員室から桜の花びらが、雪のようにはらはらと風に舞いながらゆっくりと落ちていくのが見えて、まさにこの絵本の通りなんですよ。春、桜が満開の頃にどうぞ♪


999ひきのきょうだいのはるですよ



春になり、かえるのおかあさんが目覚めました。999ひきの子どもたちちゃ~んと起きているか数えます。1、2、3、…あれ?1匹足りない…一番上のお兄ちゃんが寝ています。生まれた時もお寝ぼうさんだったけれど、かえるになってもやっぱりお寝ぼうさん。ようやく起きたおにいちゃん、自分はゆっくり寝てたのに、いざ起きたら他の寝ている動物たちを起しに行きます。さぁ、寝ている人はいないかな?おや、あっちでいびきが聞こえてきましたよ~

『999のきょうだい』シリーズ3冊目!相変わらずお寝ぼうさんなおにいちゃんが色んな動物を起こして回ります。ハイ、大体オチが見えますね(笑)冬眠する動物がわかって、低学年の子は「へぇ~」と驚きそう。春に読むのも良いですが、寒い時期に読んで、読んだ後子どもたちと冬眠する動物を探すのも面白そう!


999ひきのきょうだい



かえるのおかあさんがうんだ、999このたまご。その最後の1こだけがなかなかかえりません。おかあさんがいちば~んさいしょにうんだたまごなのに!たまごはどんどん大きくなり、ほかのきょうだいは手がはえ足がはえたのにまだうまれない。とうとうみかねたお母さんがたまごに、「はやくかえりなさーい!」すると生まれたのはでっかいおたまじゃくし!「寝る子は育つ」でしょうか、もうカエルになった他の兄弟よりも大きい!そんな999ひきのきょうだいたちがかくれんぼをしていると…

まずタイトルが良い!「999」という数字が良い!子どもたちは「そんなにたくさん!?」とまず思う。けど「1000」というわかりやすい数字じゃなくて「999」という中途半端な数字なので、余計に子どもの気を引く。そして、一番最初に生まれたのに、いつまでたっても卵からかえらないお兄ちゃん。卵のままどんどん大きくなるおにいちゃん…もうこのストーリーが面白すぎる♪ そして、絵の構図も何気に良いんですね。お母さんが卵を手にするシーンとか、兄弟たちがヘビに飛びかかるシーンとか、動感がある。春、おたまじゃくしが田んぼに生まれ始めるころ、子どもたちに絶対ウケる絵本です!


かみながひめ



紀の国の日高の里に生まれた美しい女の子。しかし、その女の子にはいつまでたっても髪の毛が生えて来なかった。そのころ海は嵐が続き、魚が取れない日が続きいた。海は夜、沖で何か光るものがあり、漁師たちはそれが原因だと考えていた。その光りものを取りに、女の子の母親が名乗りを上げた。女の子の髪が生えないのは自身の報いであり、その罪をあがなうために…

和歌山に伝わる不思議な昔話。和歌山県日高郡日高川町にある道成寺に伝わる「道成寺縁起」を元にしたお話で、この物語のかみながひめが聖武天皇の母親とされています。タイトルからはどこか怖い話のように思えるのですが(私だけでしょうか?)、実際には子を思う母親の物語。道成寺は桜でも有名ですが、桜の季節に道成寺の桜の紹介とともに読んでみてはいかがでしょうか?


おべんともっておはなみに

・おべんともっておはなみに

(こいでやすこ さく、福音館書店、2007年4月、26cm、31p、こどものとも 613号)

きょうははなさきやまへお花見に行く日。きつねのきっこはお弁当をたくさん作りました。いたちのちいとにいも一緒です。ふくろうのろくすけもさそいにいくと、ろくすけはいのししの子どものうりぼうたちの子守をまかされていました。そこで、うりぼうたちも一緒にお花見につれて行くことに。楽しいお花見が、もっとにぎやかになりそう♪

この「きつねのきっこ」が出てくるシリーズ、良いですよねぇ。何が良いって、きっこの懐の深さ、機転の良さ!はしゃぎまわったりちょっとわがままを言ったりするうりぼうたちを叱るではなく、上手にうりぼうたちの気を引くアイデアを出して、さらに楽しい気分にさせるんです♪きっこが先生だったら(あるいはお母さんだったら)、きっと毎日子どもたちは楽しいでしょうねぇ。当然、このお花見も行きから帰りまで楽しいことずくめ♪きっと子どもたちもお花見に行きたがりますよ~

※この本は単行書として発行されていません。月刊絵本雑誌「こどものとも」の613号です。


うさぎのくれたバレエシューズ



その女の子は踊りが大好きでしたが、バレエ教室に5年もかよっているのに、踊りが上手になりませんでした。お星様にも、おつきさまにもどんなにお願いしても…。そんなある日、女の子に1足のバレエシューズが届きました。そのバレエシューズをはいてみると、不意に体が軽くなって、足が一人でにはねあがって…

絵本を読み始めて1ページ目、とても寂しそうな女の子の絵。冷たそうな壁、殺風景な部屋に伏し目がちで立っている女の子の姿からは、上手く踊れない悲しみが伝わってきます。それがどうでしょう。ページをめくっていくたびに色鮮やかになり、女の子の表情も明るくなり、軽やかな風が吹き渡っているかのような動きのある絵になります。そのキーとなっているのが桜色。、各場面の物語が読者の心に与える、読者の心に感じさせる「何か」を、この桜色が上手く表現しているのです。絵だけでもこれだけのものなのですから、物語は言うまでもありません。春、桜が舞う頃にこのおはなしを読んであげてください♪

ちなみに、ビッグブックもあります↓