月別アーカイブ: 2014年9月

「学校司書資格」に必要な科目検討

※この記事は日本図書館研究会図書館教育研究部会例会のための記事です
なお部会所属の皆様はコメント等で本名を記載されないようお願い致します


学校司書が法制化されたましたが、
今後さらに学校司書資格が制定されたと仮定して、
これまでの自分の学校司書経験から必要と思われる科目を
司書資格・司書教諭免許・教員養成課程を参考にしつつ考えてみました。
SLiiiCのサマーワークキャンプで講師をする際に、
話のネタが無くなったら出そうと考えて作っていました。

まず科目名をざっと挙げてみます。
科目名等は司書・司書教諭・教員の科目から流用しています。
【司書】は司書講習と同じ科目で主に図書館全般に関する科目、
【司教】は司書教諭講習と同じ科目で学校図書館に関する科目、
【教員】は教員養成課程と同じ科目で教育学に関する科目
【学司】は学校司書独自の科目です。
(  )は単位数と必修・選択です。
リスト作成の説明はのちほどにして、先に科目名を挙げておきます。

【司書】・生涯学習概論(2・必修)
【司書】・図書館概論(2・必修)
【司書】・図書館情報技術論(2・必修)
【司書】・図書館サービス概論(2・必修)
【司書】・図書館情報資源概論(2・必修)
【司書】・情報資源組織論(2・必修)
【司書】・情報資源組織演習(2・必修)
【司教】・学校経営と学校図書館(2・必修)
【司教】・学習指導と学校図書館(2・必修)
【司教】・読書と豊かな人間性(2・必修)
【教員】・教育原理(2・必修)
【教員】・特別支援教育(2・必修)
【教員】・生徒指導論(2・必修)
【教員】・教育心理学(2・必修)
【教員】・特別活動(2・必修)
【学司】・学校図書館概論(2・必修)
【学司】・学校図書館サービス論(2・必修)
【学司】・学校図書館サービス演習(2・必修)
【学司】・学校図書館実習(1・選択)
【学司】・学校図書館設備論(1・選択)
【学司】・学校図書館制度・学校図書館史(1・選択)
【学司】・学校図書館基礎特論(1・選択)
【学司】・学校図書館サービス特論(1・選択)
【学司】・学校図書館情報資源特論(1・選択)
【学司】・学校図書館総合演習(1・選択)

総単位数:20科目38単位(選択からは2科目以上選択)

ちなみに、司書資格は13科目24単位なので
司書資格よりも科目・単位数ともに多くなっています。

・文部科学省「司書資格取得のために大学において履修すべき図書館に関する科目一覧」※PDFファイル

このリストを作るために、まず学校司書の業務や
学校司書として持ちあわせておくべき知識や専門性を
リストアップしました。
そのリストがこちら。

1.発注、受入、目録
2.レファレンス
3.貸出・返却、予約、リクエスト、督促
4.相互貸借
5.選書
6.目録・資料厚生
7.情報処理・情報技術
8.図書館運営計画作成
9.図書館精度・図書館政策
10.学校図書館教育計画(カリキュラム)作成
11.学校図書館教育研究
12.学校図書館組織
13.学校図書館資料論(蔵書構築、資料保存含む)
14.教職員レファレンスサービス
15.児童レファレンスサービス
16.広報活動
17.読書指導
18.学校図書館間連携
19.公共図書館連携
20.オリエンテーション(児童・教職員向け)
21.図書館デザイン(レイアウト、建築、サインなど)
22.地域・他機関連携
23.図書委員会活動
24.学校図書館史
25.学校図書館制度・政策
26.学校図書館実習
27.基本的な教育学(教育原理)
28.特別支援教育
29.生徒指導(生徒相談含む)
30.学校組織
31.課程対応
32.進路相談
33.児童心理学・教育心理学
34.教育政策

この34の項目と司書・司書教諭・教員それぞれの講習・養成課程で
必要な科目・学ぶ科目とを対比し、
それぞれの項目がどの科目に当たりそうか(カバーできそうか)を検討し
足りない項目は新たに科目を作成してリストに入れました。
詳しくは対応表のExcelファイルを見ていただけるとわかるかと思います。

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Excelファイルが見られない方のためにPDFファイルはこちら

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「学校司書がこの科目を学ぶ必要があるのか?」
「学校司書はこんなこともするのか?」
という賛否両論があろうかとは思いますが、
そういった科目は大抵

「学校司書としてこれまで勤務してきた中で
学んでいなくて苦労した、学んでおきたかった科目」

です。
色々ご意見等があるかとは思いますが、
考えるヒントとしてご笑覧いただければと思います。


1年生の「読書の練習(仮題)」

お久しぶりです、ほんともです。
今年度から卒業研究にまた取り組んだり
色んな研修会に参加したりと忙しく更新をサボっておりました…
2学期は少し仕事も落ち着きそうなのでちょくちょく更新したいと思います。


さて、今回は1年生の「読書の練習(仮題)」についてです
(良い名前が思い浮かびません、何かもっと良い名前があればいいのですが)。
「読書の練習」と書くといかがわしい感じがしてしまいますね。


内容は、


(1)図書館に来て本を返して借りる
(2)廊下に並んで全員一緒に教室に戻る
(3)教室で各自椅子に座り授業の趣旨を説明
(4)読む様子を見ながら苦手な子を担任・司書がフォロー


というものです。
1年生の図書の時間に行いました。
「どこかで見たような…」とお思いの方がいらっしゃるかと思いますが、
島根県松江市(旧出雲町)の揖屋小学校の実践を真似たものです。


揖屋小学校の実践では(うろ覚えですが)
朝の読書の時間に行い、
本は物語の本で教科書と同じ書体の本を用意し、
担任・司書教諭・学校司書の3人の先生が入って
行うというものでした
(すみません、うろ覚えですので間違いがあるかもしれません)。


本校は朝の読書の時間がクラスの裁量で行われているので、
図書の時間に行うこととしました。
また、読む本は図書館で借りた本でも良いし、
司書がブックトラックに載せた本でも良い、としました。
ただし、間違い探し絵本やなぞなぞの絵本、
マンガや絵しかない絵本などは読んではいけないこととしました。
また、本校では物語に限らず絵本(少し長めのもの)や
他の類の1年生が読めそうな本も準備し、
本の難易度も簡単なものから少し難しい物までそろえました。
書体に関しては手書きやポップな書体のものは避けました。
以下、実践してみてわかったことです。

(1)図書館で行うよりも教室で行う方が良い
本校は図書館にクラス全員分の座席が無いので
必然的に教室でする選択肢しかありませんでした。
教室から図書館に移動する手間と時間が
もったいないように思われましたが、
図書館で読みたい本を選べるし、
本を貸し借りして移動する時間を差し引いた残り25分ほどが
1年生が集中して本を読める限界ちょうどくらいで、
時間的には問題ありませんでした。
また、図書館に座席がクラス全員分あったとしても
教室で行った方が良いように感じました。
図書館の座席は大抵4人掛けだと思いますが、
4人掛けだと苦手な子をフォローする際に他の子の気が散る、
教室の1人掛けだと真横について集中してフォローしやすい、
また教室だと机間移動がしやすく全体を見てまわりやすいと感じました。

(2)本は幅広く揃えた方が良い
1年生が選んでいる本を見ると、
ほとんどは絵本や物語の本で、
一部の生き物好きの子は生き物の本を選ばない、という状況でした。
1年生の時点で既に本の選択に偏りが見られます。
しかし調べ学習を今後行うことを考えると、
幅広い本を準備し教える側から幅広い本を読むように
働きかける必要があります。
また、そのような本の魅力を伝えるのが学校司書の役割であり、
様々な本を知り子どもたちが魅力的に感じるような
紹介の手法を身につけておく必要があるように思います。


(3)本の難易度も広く揃えた方が良い
子どもたちによって文章を読む力の差があるのは当然なのですが、
その差はかなり広いように感じました。
青い鳥文庫をすらすら読む子もいれば、
絵本の文字を追うので精一杯、という子もいます。
どの分類の本にしろ、子どもたちの幅広い読書力に
対応できるよう様々な難易度の本を準備する必要があります。

(4)絵本の文字の配置
絵本によっては文字の配置が上下左右に分かれているものがあり、
本を読むのに慣れない児童にはどこをどの順番で読めば良いのか
わかりにくいように見受けました。

(5)会話文について
本によっては会話文が「 」で区切られていないもの、
また逆に「 」で会話文ばかり続くものもあります。
会話文が「 」によって区別でき、
また会話文ばかりが続かないもののほうが
1年生には読みやすいように見受けました。

(6)オノマトペのみで場面を表現しているもの
作品名など具体例を挙げられればわかりやすいのですが…
物語の場面の様子をオノマトペ中心に表現しているもの、
例えば船が海からやってくる場面で
「ふねがどんぶらこぶら…。
 ちかづいてきます、どんぶらこぶら…。」
という風にオノマトペで簡略化して説明しているものは、
文字は追えるけれども意味を追いにくいように思いました。
しかし一方で「想像力を養う」面もあるので、
これはどちらが良いか判断に迷うところです。
ただ、読むのが苦手な子にはこのような本は
場面の意味や展開が読み取りにくく、
読みにくいように見受けられました。

(7)場面展開や文末表現
(6)にも通じるものがあるのですが、
説明が簡略で場面展開がわかりづらいものや、
文末表現が「…」になっていたり
体言止めになっていたりしている
複雑な表現のものも、読むのが苦手な子には
読みづらいように見受けました。

(8)物語・絵本以外の本がかえって読みやすい
(6)(7)を踏まえるとむしろ、
科学絵本などの方がむしろ子どもたちには
文章表現が単純で読みやすいのではと思いました。
実際、科学読物で漢字も交えた(ルビは振ってある)
字が細かく行間が狭く長い本を集中して読める子もいました。
ただ、同種の物語の本を今回は入れていなかったので
比較がまだ必要だし個人の読書力の違いもあるので
これも必ずしも正しいとは言えません。

(8)1年生が知らない単語が多いものは避ける
行事絵本など1年生が知らない単語が多く出てくる本は
読めても内容が理解できていないようでした。
また、後述しますが単語を知らないので
文字を追う際に文章の区切りが単語単位で捉えられず
読みにくいように見受けました。

(9)読むのが苦手な子は単語で区切って読まない
読むのが苦手な子は、ひらがなを1文字1文字追って、
1文字ずつ棒読みで読みあげていきます。
単語ごとに区切って読む、意味を捉えて読むというのできません。
まだひらがなを完璧に覚えていないというのが原因ですが、
そういった単語ごとに区切って読むというのを
どこかで教える必要があるように感じました。
例えば、電子黒板に文章を全く区切りや句読点を入れず表示して、
区切りや句読点を入れた文章を比較して、
文章は意味のある単語で区切って読むと読みやすいんだよ、
というような指導が必要なように思いました。
また、そいういった読むのが苦手な子も付き添って読み続ける内に
何度も出てくる単語はすらすら読めるようになったり、
後半は読むスピードが上がったりしていました。
集中して読むことによる効果が出ていました。

(10)楽しいという子もいれば疲れたという子もいる
終わったあと感想を聞いてみると「面白かった!」という声が
意外にも多く出てきました。
そしてもちろん、「疲れたー」という声もありました。
おおよそ25分ほどですが、
やはり集中して読むのは1年生には体力を使うように見受けられました。
私はこの授業をあと2、3回続けようかと考えていたのですが
担任の先生から「月に1回くらいすれば良さそうですね」と言われ、
確かにこれが毎回続くと1年生にはハードだなと考えを改めました。
ただ、このような読み方を普通の図書の時間にも心がけるようにし、
教室でも本を読む時間を空き時間等に取ってもらい、
定期的にこの「読書の練習(仮題)」時間を設けて
その度に読む本が多様になるよう指導したり
読む手法をレベルアップしていけば効果が期待できるように思います。

(11)事前に読むのが苦手な子を担任の先生と共有しておく
どの子が読むのが苦手か、というのは担任の先生が
普段の授業の様子からだいたい把握しています。
読むのが苦手なのはふたつのタイプがあり、
「集中力が続かない」タイプと、
「読むことそのものが苦手」タイプの2通りです。
どちらのタイプの子も事前に共有しておき、
それぞれのタイプに合った働きかけをする必要があります。
前者なら本をオススメするなどして飽きないように、
後者は付き添って一緒に読むのが効果的ですが、
他にも何か良い手法があるかもしれません。



やってみた結果以上のようなことがわかりました。
今後、内容や選書をブラッシュアップしていき
より効果的に行いたいと思います。
また、他にも何か良い手法などの情報をいただけましたら幸いです。